家族の始まり 私達は雨のなかで眠る 身体にしみて 降る雨に それでも耐えて 眠りつづけられるのは 重すぎるほど瓦を積んだ 屋根の下にいるからだ 私達の悪夢は 降り続ける雨のせい ばかりではない 雨から 私達を守る屋根が 雨より重くのしかかる それも大きい ある晴れた日 私は 私達の悪夢を いくらかでも軽くするため 柱を発明することにする 屋根を支える柱だ それで私は 私達のあいだで 父などと呼ばれることになる 風の日 屋根と柱のある その下に 私が眠り 私達すべてが眠り 私達の体温は 風まかせだ だから 壁を発明したものが 母になる