僕の部屋の窓から  僕が借りた、丘の上の僕の家の部屋の窓からは、小学 校の赤い屋根がよく見える。夏の陽に焼かれた教師や小 学生の欲求や不満が、ポップコーンのように破裂するの を寸前で押えつけている屋根だ。性欲が募ってくると僕 は、この部屋に妻を呼ぶ。妻の性欲が優先する夜には、 妻の部屋を訪ねる。ああ、丘の下に広がる町のすべての 屋根の下で、まったく同じ行為が繰り返されている。こ の、予定された調和になにひとつ不満はないのに、僕は いつもイライラして、我慢できなくなるとポップコーン になって部屋中に散らばった。